From:萩原 敬大(はぎわら たかひろ)
”「間違ったことを分析し修正するのと同じように重要なのは、そしておそらくもっと価値のあることは、うまくいったことを分析し、かつその上にいろいろなことを築いていくことである。金融業界に生きる人々はデータを収集し、問題を分析することに長けているが、ビジネスの世界では成功について分析できる人は本当に少ない。」”
「20世紀の三大広告人」の1人とされている、セルジオ・ジーマンはこう言いました。
彼は、元コカ・コーラ社のマーケティング最高責任者を務め、数々の画期的なマーケティング戦略を実行し、コカ・コーラ社の株価評価総額を”35倍”に押し上げる貢献をしました。そんな彼がコカ・コーラで働いていた時、現場に行って、次のような質問をするのが楽しみだったと言います。それは、、
「なぜ、プラン通りにいかなかったのかい?」
という質問です。彼がそう聴くと、世界中のどんな地域であろうと、マネージャーの口からは、「プランは達成しています。実際、計画よりも15%も上回っています。」といった説明があるそうです。
しかし、たとえ15%上回っていたとしても、彼はこれを「プラン通りにはいっていない」と考えるそうです。なぜなら、、
”「仮説では、X%成長するとしていたのに、実際には、Xプラス15%成長したわけだ。何が起こったというのだ?あなたが当初立てたプランを10%下回って成長した場合、きっとあなたは広告を徹底的に打ったかどうかを分析したことだろう。ところが、あなたが当初立てたプランを上回っていた場合には、広告について分析する必要などないと判断してしまう。私が言いたいのは、たとえ成功してもその理由を分析すべきだということだ。」”
セルジオ・ジーマン「すべては「売る」ために―利益を徹底追求するマーケティング」より引用
仮説(プラン)を下回っただけではなく、上回っていた場合、つまり成功についてもしっかりと分析をすることで、何がうまくいき、なぜうまくいったかを理解することができます。そして、それが理解できれば、他の状況にもその成功体験を適用することができ、より大きな成功を達成することができます…
ある銀行の事例
ある銀行では、マーケティングキャンペーンを行った時、その成功の理由を調査したところ、、「人がメインに使う銀行を選ぶ理由」として、銀行と消費者との間で繰り返し交わされる、ある言葉が決め手になったことがわかりました。それは、「便利だから」という言葉です。彼らは分析をそこで終わらせることなく、その「便利」という言葉が具体的に何を指すのかをさらに分解していきました。すると、、
さまざまな層の消費者が一様に「便利」という言葉を決め手に挙げるのですが、
実は3つの消費者層によって、「便利」という言葉の意味するものが違うことが分かったそうです。
ある消費者層にとっては、「便利」と言えば、立地や支店の場所が生活の場所と一致していることを指していました。地元志向で、同じ地域の人と多くの時間を過ごす人たちにとっては、家にも職場にも近い銀行が便利になるということです。
しかし、別の層にとって「便利」とは、ネット上のツールが充実していることでした。提供されたネット上のツールの使いやすさで銀行を選び、支店を訪れることはめったにないという人たちです。彼らにとっては場所よりも、ネットバンキングやATMなどの機能のほうが重要なのです。
また別の層にとっては、「便利」=銀行の担当者との人間関係、という人たちもいます。比較的お金持ちの層であれば、自分で出向くよりも、ネットを使うよりも、、電話一本で用を済ませたいのです。
などなど、1つの成功をもっと深く分析することで、彼らは「便利だから」という広い意味の言葉を分解し、異なるターゲット層に、異なるアプローチをすれば、
マーケティングキャンペーンの効果を大幅に増幅できる要素を発見したのです…
リッチの事例
これは、リッチが、あるマーケティング界の大物のライブストリーム(生中継)に出演し、販売を手伝うことになった時のエピソードです。
そのライブストリームには、リッチ以外にも、何人かの有名なマーケッターが呼ばれていて、リッチは一番最後に登場することになっていました。そして、リッチは一日中会場にいて、ほかの人たちと会話をしたり、ストリーム中継に登場する人たちの話の内容、そしてそれが売上にどう影響するかをじっくり観察していました。
まず、中継に登場したほかのマーケッターたちは、「成功したことによって、いかに素晴らしいライフスタイルを過ごせるようになったか?」といった趣旨の質問を受けていました。その様子を見ていたリッチは、彼らがその質問に答えている間、売上が低迷していたことに気づいたそうです。
その一方で、マーケッターたちが、自分の挫折の経験やそこから学んだこと、そしてその挫折を経験したことによって得られた成功について話した時には、ずっと売上が良くなっていることに気づきました。
その分析をもとに、リッチは自分の順番が回ってきたとき、インタビューを担当していた人にこう頼みました。
「私の話の流れに従って、成功よりも挫折に焦点が行くようにしてほしい、そうすればそこから話を広げていくから」と。
その結果、、リッチが話を始めて5分も経たないうちに、売上が伸び始めました。そして、その後彼が出演している間は、ずっと売上が伸び続けたそうです。結局、45分ほどの間に普段ほぼ一日かけて売り上げる量よりもはるかに多い売上となりました。
この日1日のライブストリームに登場したマーケッターは数多くいましたが、
その一日の流れの中で成功を分析し、そのパターンを見抜いたのはリッチだけでした。それについて、リッチはこのように言っています。
「たとえ私の出番が最後から2番目か3番目であったとしても、私には十分なデータがそろっていたことでしょう。その成功パターンからどんな傾向が読み取れるか、、目の前にとても有益な情報があるのに、ほとんどの人は不要なものと見なしたのです。その情報を深く掘り下げて理解することに価値を見出さなかったのです。これは私にとっては、ある意味で驚きでした。」
僕たちの事例
以前、弊社の「ザ・レスポンス」ブランドで、北岡秀紀さんの「インターネットマーケティングコンサルタント養成講座」というセミナーを売っていました。(今はオンライン講座になっています。)これはもともと非常に好評で、売れ行きの良いセミナーだったのですが、その成功の要因をさらに深く分析してみたところ、
ある意外な事実が分かりました。というのも、、
このコンサルタント養成講座というのは、もともとこれから起業したい会社員向けに、インターネットマーケティングのコンサルタントとして起業する方法を教えるというコンセプトです。しかし、参加者の分析をしてみると、
結果的に参加者の半数が、すでに会社をやっている社長だったのです。
よくよく話を聞いてみると、すでに自分のビジネスを持っていても、、「業界自体が落ち込んでいるから先行きが不安」「いつ今のビジネスがダメになるかわからないから…」といった理由から、「今のうちにもうひとつ新しいビジネスを始めて、2つ目の収益の柱を作りたい。」と、考えて参加する人がすごく多いことが分かりました。
そこで、僕たちは新しい訴求のセールスレターを作り、このようなヘッドラインを書いたところ、、すごくヒットし、この予期せぬ成功をさらに大きく拡大することができました。
成功の裏側には、さらに大きな成功へのヒントが詰まっている
出したセールスレターの反応が全くない…頑張って書いたチラシなのに、、全く問い合わせがない…など、、多くの人は、自分が試したことが失敗したら、「どこが悪かったんだろう?」と、必死になって考えます。
一方で、それが成功した時は、やはり気持ちがいいですし、実際売れているから問題は起こらないので、、ついつい深く分析したり、振り返ることを怠ってしまいます。(これは、僕自身も反省しないといけないなと思った点です。。)
しかし、今日ご紹介したいくつかの事例の通り、失敗だけでなく、成功についても細かく分析することで、その成功をさらに拡大することができるのです。
あなたはいかがでしょうか?もしあなたがこれまで、自社の成功事例を分析してこなかったのなら、、そこをもっと深く分析することで、さらに大きく売上を上げられる。もしくは他の商品やキャンペーンへと展開できる、大きなヒントが見つかる可能性があるかもしれませんね。
萩原敬大
PS.
どのように分析をするべきか?マーケティングにおいては、どんな指標を見るべきか?といった、より具体的な手法については、分析のエキスパート:リッチ・シェフレンの「ビジネス・グロース・システム」で非常に詳しく紹介されているので、ぜひ参考にしてみることをオススメします。
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