今週のリッチ・シェフレンの名言をお届けします。
私のことを前から知っている人たちなら、私のテニスへの愛を知っていますよね。子供のころ、伝説的プレーヤーだったビヨン・ボルグの大ファンでした。
当時ボルグは、ツアーに出ていた他の選手と同じように、木製ラケットを使っていました。驚くべきスキルと身体能力のおかげで、彼は数多くの選手権を制しました。1974年から1981年の間にグランドスラムの優勝タイトルを11回獲得しています。連続5回のウィンブルドンと6回の全仏オープンです。信じられないほどの偉業を達成して、彼は引退しました。
1991年、ボルグはカムバックを試みました。しかし、その時のテニス界は大きく変わっていたのです。選手はもっと優れたな強力な道具を使うようになっていました。ラケットは金属とグラファイトでできていたのです。
ところがボルグは木製のラケットに固執しました。結果は思わしくありませんでした。身体的なスキルとゲームに対する戦略的知識は衰えていませんでしたが、彼の周囲では、ゲーム自体が変化していました。ボルグは順応することを拒んだために、自分より劣るプレーヤーに負けました。それは単純に良い道具を使っていた対戦者の方が有利だったからです。
ボルグの周囲でテニスを巡る環境が変わっていたのです。
その変化に順応することを拒んだ瞬間に、彼のキャリアは事実上終わりました。
ビジネスにおいても変化は絶え間なく起こります。変化には小さくてほとんど見えないようなものもあります。しかし中には、ビジネスの景観を完全に変えてしまうものもあります。そうした変化はそれまで有効だったマーケティング・ツールや戦略を無効化し、陳腐化してしまいます。変化は、生き残るために順応することを要求する、いや命令するのです。
20世紀初頭の生産ラインの登場を考えてみてください。生産ラインは製品が作られる方法を完全に変えてしまいました。製造の新しい方法に順応できず、製品を一つ一つ組み立てていた職人は、大量生産で可能になった規模とレバレッジに絶対に対抗できなかったのです。そのビジネスとキャリアはじきに終わってしまうでしょう。ビヨン・ボルグと同じように。
「順応しないなら変化にやられてしまう。」このことを肝に命じておいてください。
大きな利益とその向こう側へ、
リッチ・シェフレン