From:萩原 敬大(はぎわら たかひろ)
ダイレクトマーケティング界の巨人で、リッチのビジネスパートナーでもあるダン・ケネディがお客さんにアドバイスをした時、、もっともよく聞く、”最悪の言い訳”というものがひとつあります。それが、、
「でも、私のビジネスは違うから…」
というものです。
事実として、356種類以上の業種業界で成果が出ていることが確認され、「これまで40年のキャリアの中で成果が出なかった業界はない」とまで言っているダン・ケネディのノウハウでさえ、多くの人が、、
「うちの業界は、それとはちょっと違うんです。」
「ちょっと特殊な慣習があるので、それはうちには合わないと思います。」
このような反応を示し、頑なに実行するのを拒むそうです…
この言葉は、僕たちがセミナーなどでお会いするお客さんからも多く聞きます。多分いけるんじゃないかなーと思ってアドバイスをさせていただいても、
「いやー、でもうちは…」といった反応だったり、しばらく経っても、結局実行に移されてなかったりということがよくあります。それとは逆に、セミナーなどでスグに成果を出す方の特徴は、この言葉を言わずに素直に実行し、行動する方ばかりです…
同業の中から”良いアイデア”は出てこない
実際、効果のあるマーケティング・ビジネスのアイデアというのは、横並びの同じ業種の中からは出てきません。同じ業種の競合をマネしたり、意識するなら、、
結局は価格競争の消耗戦に陥り、お互いが負ける・・ルーズ/ルーズになってしまうだけです。
広告やプロモーションのアイディアにしても、競合のものをパクったら、当然問題になります。でも、異業種ならその心配はありません。やはり同じ業種の中で、まだ誰もやっていないことを、いち早くやるからこそ効果があるのです。
事例:航空業界
1つの例として、”航空業界”があります。航空業界というのは非常に競争が激しく、全然儲からない業界の典型と言われています。あのペイパルの創業者で、シリコンバレーでは伝説の起業家と言われるピーター・ティールも、、儲かるベンチャー企業を作るための条件は
「競争を徹底的に避けること。」と言っていて、そのダメな例の典型に航空業界をあげているほどです。
日本では過去にJALが破綻したり、アメリカでもビッグ5(アメリカン、ユナイテッド、デルタ、ノースウェスト、USエアー)と呼ばれた航空会社のうち、すべてが破綻、再生の適用を経験しているほどです…
このような厳しい業界ですが、、実は
その中に1社だけ”異常な会社”がありました…
ここに面白いデータがあります。もし今、1972年に戻ったとして、アメリカの代表的な500社を集めた株式指標「S&P500」に1ドルずつ投資したとすると、、30年後に最も多くの儲けを生み出してくれたのはどの会社だと思いますか?
なんとそれは、あの純利益4兆7693億円の超高収益企業「アップル」でもなく、純利益4兆569億円の石油会社「エクソンモービル」でもなく、、あのバフェット率いる資産運用会社で、純利益2兆4390億円の「バークシャーハサウェイ」でもなく、、、
わずか片道数千円の運賃で運行する格安航空会社「サウスウエスト航空」だった。ということが、とある金融情報誌の調べで分かったそうです…
”異常な会社”「サウスウエスト航空」の違い
「サウスウエスト航空」は、アメリカのテキサスに本社を置く、短距離路線に特化した格安航空会社です。「稼働率の高い人気区間で、長距離の国際便を多数持つ会社が儲かる」という、、これまでの業界の常識に反して、国内の短距離路線だけしか持たないにもかかわらず、創業以来高収益を維持しています。
この会社のもともとのコンセプトは
「空飛ぶバス」だそうで、そもそも競争相手を航空会社とは考えておらず、バスだったり、自動車などの「乗り物」と定義しているそうです。
なので、多くの航空会社がやっている方法は取らず、中規模の空港を拠点に、シンプルな乗り継ぎなしの直行便を、短い折り返し時間で効率的に飛ばすことだけにフォーカス。そして、機内食や過度なサービスなどの無駄は極力カットし、とにかく安く、早く、快適に「移動」できるという価値だけに絞り込んだことで、格安でも高収益な体質を実現しました。
競合他社の基準は”全く参考にならない”
そんなサウスウエスト航空のCEOは創業時、業界では極めて非常識な低価格を、どうにかして打ち出せないかと頭をひねっていました。そこで考え出したのが
「15分ターン」という作戦です。
サウスウエスト航空の飛行機は当時、平均60分飛んで、空港の駐機場で45分過ごし、また60分飛ぶ。(いわば45分ターン)というペースで繰り返し飛んでいました。これだと、1日18時間飛ぶとして、約10回飛ぶことができます。
この45分のターンが1/3の15分で済めば、1日に14回もお客さんを運べる。(約30%のコスト削減)そう考えたCEOがまず実行したのは”異業種へと目を向ける”こと。それもそのはず、競合他社の基準は「50分ターン」と、サウスウエスト航空よりも遅いものだったので、全く参考にはならなかったからです。
そこでまず初めに、異例の
”座席指定チケットを廃止”する考えを打ち出し、先着順で席を選べるようにしました。(そうすればお客さんはいい席を取るために早く来るので、搭乗がスムーズになるからです。)それでもまだ「15分ターン」には全然届きません。そこでCEOが目を向けたのが、、意外すぎる業種でした….
意外すぎる業種から得た”最大のヒント”
散々他業種を調べたあげく、行き着いたのが
「インディ500」というアメリカで大人気のモータースポーツでした。インディカーは給油のため、必ず定期的にピットインに入ります。おそらくみなさんもテレビで見たことはあると思うのですが、、0,1秒を争うピットインの手際は素晴らしく、連携が取れていて、恐ろしく速いです。
[
clicccar.com(クリッカー)より転載:]
そのインディ500を研究することで、事前の段取りやスピードを上げるための専用工具の開発、チームワークが向上し、15分ターンを実現することができたそうです。これこそが、今のサウスウエスト航空に圧倒的な収益性と、競争優位性をもたらすこととなったのです。
(参考文献:「経営戦略全史」三谷 宏治 )
このように、、業界でずば抜けた結果を出す企業は、異業種から学ぶという姿勢を持っています。
飛び抜けて優れた成果を出せるアイデアは、同業種の中からは出てこないということを知っているのです。
その他にもネットフリックス(従来のレンタルビデオを郵送で、ネット上で、定額課金で)や、ジップカー(レンタカーを時間貸しの駐車場のように、面倒な手続き不要でいつでも好きな時に使える。)などなど、、異業種に学んで成功した事例は、あげればキリがないほどあります…
”最悪の言い訳”を避ける方法
これを聞いてもまだ、「でも、、」とあなたの口から”最悪の言い訳”が出てきてしまうなら、、もしかしたら、リッチの言う
「マーケティング・マイオピア」(視野が狭くなってしまい、自分たちのビジネスの提供する領域を間違って認識してしまうこと。)という現象が、その原因になっているかもしれません。
これを回避するには、自分たちのビジネスの定義を、単なるパン屋、美容院、整骨院、HP製作会社など、、
「◯◯屋」という範囲に限定しないことが重要だとリッチは言っています。
それは例えば、サウスウエスト航空がやったように、自分たちは単なる航空会社ではなく、空飛ぶバスであり、お客さんを快適に、素早く目的地へと運ぶビジネスをしている。という定義を持つということです。
中谷さんもよく言っていますが、
あなたのビジネスは、単に今扱っている「商品」を売っているだけのビジネスではなく、もっと素晴らしいものを売っているはずです。あなたの目の前にいるお客さんが得られる最終結果をゴールにすれば、もっと自然に、その定義は広がっていきます。
最後に、ちょっとだけリッチが「ビジネス・グロース・システム」の中で語っている言葉を引用しますね。
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「私に服を売るのではなく、シャープな外観、スタイル、魅力を売ってください。」?
「私に保険を売るのではなく、心の平安と、私の家族と私自身のための素晴らしい未来を売ってください。」?
「私に家を売るのではなく、快適さ、満足感、優良な投資、持ち主であることの誇りを売ってください。」
「私に本を売るのではなく、楽しい時間と知識を得ることによるメリットを売ってください。」
「私に物を売るのではなく、理想、感情、自尊心、家庭、人生、幸福を売ってください。」
?
さあ、今度はあなたの番です。あなたの市場の人が「私に〇〇を売るのではなく……」と言うとしたら、ここに何が入りますか? ランプですか?だったら、効果的な照明の使い方でインテリアがとても素敵な家、もしくはシンプルに素晴らしい家でもいいでしょう。
あなたの顧客は、一生懸命稼いだお金で、いい気分と問題に対する解決策を手に入れるのだということを忘れないでください。そこで、品揃えを拡大し、他に顧客のどんな願望を満たすことができるか、検討すればいいのです。
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おそらく、このような考え方・視野を持つことで、、あなたの口からは二度と、「でも、私のビジネスは違うから…」などという言葉は出てこなくなるでしょう。そして、自然と、同じ目的を持つ素晴らしい異業種のビジネスへと目が向くようになるはずです。
萩原 敬大
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