From:萩原 敬大(はぎわら たかひろ)
フロリダ オーランドのホテルより
今、ダン・ケネディの
「Growth hacks Live」という
カンファレンスに参加するため、アメリカに来ています。ここフロリダはリッチ・シェフレンの本拠地でもあるんですが、4月でも気温は30℃・・暖かい気候で過ごしやすく、とてもいい感じです。
さっそく内容のシェアを・・と言いたいところですが、、まだセミナー内容をまとめていないので、今日はちょっと違う内容をお話ししますね。
1カ月ほど前、ようやくAmazonの電子書籍端末「Kindle」を書いました。プライム会員なら4,000円オフというセールをやっていて、わずか4,980円という安さ。(おそらく端末ではなく、電子書籍を買ってもらうことで収益化することを狙っているんでしょうね。)
正直、僕は紙の本が好きなので抵抗がありましたが、、すごく使いやすい。ブルーライトもなく、普通の本を読んでいるのとほとんど変わらない感じ。軽くて、どこにでも持っていけて、バッテリーは数週間持ちます。それでいて何千冊もの本を持ち運べるわけですから、、これはハマること間違いなしです。
今では大ヒットし、当たり前のように普及しているこのKindle(電子書籍)ですが、あなたもおそらくご存知の通り、電子書籍端末を最初に開発したのはAmazonではなくソニーでした…
電子書籍の可能性に”気付いた”1人の男
2004年「リブリエ」という端末を発表し、最初に電子書籍というカテゴリを作り出したのはソニーでした。これが出た当初、もちろん多少は話題になったのですが、、その使い辛さ、読める書籍の少なさから「誰がこんなものを買うの?」状態…お客さんに聞いても、「私は紙の本の手触りや匂いが大好きなんだ。」というばかりで、専門家をはじめ、多くの業界人ですら見向きもしませんでした。
そんな中、この端末を手に取り、
「これはすごい発明だ!これは間違いなく、我々のビジネスを破壊するかもしれない脅威になる。」と強い危機感、チャンスの匂いを嗅ぎ取った男が1人いました。その男こそが、AmazonのCEO・・ジェフ・ベゾスです。
彼はすぐこの端末を大量に買い集め、研究を始めました。詳しいことは知りませんが、おそらく分解し、隅々まで研究し尽くしたのでは?と言われています。そして数年後、、彼は「Kindle」という電子書籍端末を世に出します。
リブリエが出たときは1万冊ほどしか読めなかった電子書籍も、Kindleはリリース時に9万冊以上を揃えました。値段もはるかに安く、軽くて操作性も良いものでした。その結果はといえば、、
以前のブログでも書きましたが、Kindleは爆発的なヒットになりました。そして、あれだけ紙の本が好きだと言っていたユーザーも、使いやすさからか、Kindle所有者の電子書籍購入回数は、紙の本を郵送で受け取っていた時の2,7倍に上がっていました。
そして、
電子書籍市場ではAmazonがダントツのトップとなり、最初に開発したソニーは撤退へと追い込まれることとなりました。「電子書籍が自分のビジネスにとって、驚異的なイノベーションになる」そう見抜いて、いち早く行動を起こし、製品の質を磨き続けた起業家ジェフ・ベゾスの
「気づきの感度の高さ」が勝利を産んだのです…
”気づきの感度”の鈍さが招いた破綻…
また別の事例で、写真フィルム業界があります。写真フィルムというのは、かつて世界で4社しか製造できなかった商品で、アメリカのコダック、ドイツのアグファ、日本の富士フイルム、コニカの4社の寡占市場でした。
その中でもダントツだったのがトップの「コダック」社で、かなりの利益を稼ぐ超優良企業だったのですが、、ご存知のように写真フィルム業界は今、デジカメ、スマホに取って代わられ、ほぼ需要がなくなり、「コダック」は経営破綻にまで追い込まれました。
しかし、実を言うと、、
この原因を作ったのは、他ならぬ「コダック」自身でした。コダックの研究所は、最初のデジカメを1975年に開発していたのですが、、なんと製品化を進めなかったのです。
もちろん、社員の中にはデジカメが脅威になると薄々感づいていた人もいました。でも、現状で儲かっているフィルム事業を潰すことにもなるし、、と、見て見ぬ振りをしてしまいました。その間に、その技術の素晴らしさに”気づいた”他社がデジカメを開発し製品化。大ヒットを飛ばします。
急速に普及し始めたデジタル写真により、それまであった写真フィルム市場は9割以上が消滅。コダックはどんどん取り残され、最終、破綻へと追い込まれることになりました…
ピンチをチャンスに変えた
”気づきの感度”の高さ
その一方で、コダックと同じ業界にいた富士フイルムは違いました。富士フイルムは、何に気づくべきか、その感度をとても高く持っていました。
富士フイルムは写真フィルムに固執せず、デジタルカメラの製品化に取り組み、一定のシェアを確保したのはもちろんですが、それ以上に自らの事業・技術を広く捉えていました。その結果、「アスタリフト」と言う画期的なアンチエイジング化粧品を発明し、新たな市場を切り開いたのです。
この「アスタリフト」は、富士フイルムが持つ写真フィルムの技術を化粧品へと応用したものでした。例えば、写真フィルムはコラーゲンでできているので、肌の張りを保つのに必要となる化粧品へと応用できることに気づきました。さらに、写真の色褪せを防止する抗酸化技術は、肌の老化にも有効だということ、カラー写真フィルム技術で培ったナノテクノロジーを活用すれば、化粧品を肌になじませることができることに気づきました。
これらの気づきを結集した結果生まれたのが、
いつまでも若々しい肌を保ちたい30~50代女性向けのアンチエイジング化粧品「アスタリフト」だったのです。この化粧品のヒットをきっかけに新たな活路を見出した富士フイルムは、大きく業態を変えていきます。
もともと看板事業だった写真フイルム関連の売上高比率は、デジカメの普及とともにどんどん減り、
2000年の約54%から2011年には”1%未満”と、もはやまったく別の会社のようになっています。
これは、、たとえて言うなら、トヨタ自動車が車を売るのをやめたようなもの。自分の業界に置き換えて考えたら、、かなり恐ろしいことじゃないですか?そのような状態でも富士フイルムがビジネスを潰すことなく、逆に成長させることができたのは、、その気付きの感度の高さが1つの要因でした。
すべての人の目の前に
平等にチャンスは現れている
起業家にとって、この
気付きの感度をいかに高めるかということは、ビジネスの成長スピードを大きく左右する。と、リッチは常々言っています。
実際のところ、毎日にように、ほとんどすべての人の目の前に、平等にチャンスは現れています。でも、たいていの人は自分が何を得たいのかを明確にしておらず、自分が何に気付くべきかをハッキリとわかっていないため、そのチャンスをみすみす棒に振ってしまうのです…
インターネットマーケティングの専門家として活動するリッチの事例では、数年前、リッチが書いた故ビリー・メイズについての追悼ブログがあります。(ビリー・メイズというのは、アメリカテレビショッピング界の帝王と呼ばれ、普通の家庭用品を1000億円以上テレビ通販だけで売った伝説的な人物です。)
人が亡くなると世の中の関心が突然集まります。そこで、リッチはもともとファンだったビリー・メイズの功績に敬意を示し、彼のセールスプロセスを自分なりに分析した、A4で20?30ページにも及ぶ長文の記事を、自社のブログへと無料でアップしたのです。
この記事は内容がとても素晴らしかったので、口コミで大きく広がり、SEOであっという間に1位を獲得。あのニキビケアのプロアクティブを販売する大手通販会社「ガシーレンカー社」からも声がかかりました。
このブログでは、
単に無料のトラフィックを大量に集めただけでなく、リッチはインターネットマーケティングの専門家として、そのほかにも数多くの企業から仕事の依頼を受けるキッカケになったのです。
これはもちろん、誰もが利用できるチャンスだったのですが、、それをやったのはリッチ1人だけ。このようなことにいかに気付くことができるか。これこそが起業家にとって、得られる成果の違いを生み出します。
そしてその気付きの感度の違いは、自分が求めているものは何なのか? それを得るためには、自分が何に気付く必要があるのかということを、日頃から明確にしているかどうかというところから生まれてきます。
あなたは何に気付く必要がありますか?
あなたはいかがでしょうか? 起業家として、あなたがビジネスをしている業界で、何に気付くべきでしょうか?あなたがモノにできそうなチャンスが訪れたことを察知するには、何について意識を高めればいいのでしょうか? 自分が正しい道を進んでいるのか、誤った道を進んでいるのかの判断の裏付けを得るには、何に気づけばいいのでしょうか?
すべての人にとって、日々何かしらのチャンスが生まれています。もし、あなたがこのようなことを日頃から考えていないなら、、今日の事例でも言いましたが、あなたが気づかなくてはいけなかったことに、他の誰かが気づいてしまって、いつの間にか手遅れになってしまうことだって大いにありえます。
いつでも最高のチャンスを掴めるよう、気付きの感度を高めることを意識してみてはいかがでしょうか?
萩原 敬大