起業家が、難題や挫折に直面したとき、不安になって苛立ったり、自分自身を疑ったりして、
破綻してしまう人がいる一方で、穏やかで楽観的に、自信を保ちながら問題を解決できる人も
います。
これらの人々の違いは何なのでしょうか?
私が思うに最大の違いは、物事の見方、感じ方、振る舞い方です。
起業家として直面する浮き沈みに最終的にどう対応するかは、自分の身に起きた出来事や、
それに対する心境の変化についての「パースペクティブ」にかかっているのです。
例えば、数年前、娘とレゴのバービーのおもちゃで遊んでいたときの話です。
バービーの赤ちゃん人形が壊れてしまいました。
すると娘は、まるで世界が終わったかのようになってしまいました。
自分にはまだ食べ物や衣服があって愛情にも恵まれ、十分に世話してもらっていることが
認識できなかったのです。
もちろん私には、おもちゃが大して重要でないことは分かっています。彼女にはない
パースペクティブがあるからです。
これは起業家にとっても同じなんです。何か悪いことが起きたとき、私たちは、自分たちを苦しめ、不安にさせていることが、実は大して重要ではないと頭の上では理解しています。
しかし実際には、冷静かつ客観的で頭が冴えた状態、辛抱強い姿勢を保つことができず、
腹を立てて焦り、自信を失ってしまうことのほうが多いのです。
冷静さを維持しようとし、これまでに教えられたことを実践しようとするでしょう。
深呼吸をしたり、ポジティブなメッセージを復唱したり、成功をイメージしたり、といったことは、
些細な問題のときには効果があるかもしれません。
しかし、人生を左右するような難題に直面したとき、起業家として大きな困難に見舞われたときには役に立ちません。イライラしないようにと自分に言い聞かせても解決にはならないのです。
この場合、落ち着いて自分をコントロールし、平静を保つことは大切ですが、そもそも初めから興奮せずに済むなら、そのほうが望ましいし簡単ですよね。
自信喪失や激怒、動揺、不安になるのを抑えようとするより、最初からそう感じなければいいわけです。パースペクティブがあればそれが可能になるのです。
何か難題に直面した時でも、数日、あるいは数時間も経つと怒りは収まり、そもそもあんなに取り乱す必要はなかったのだと気付くことがあると思います。つまり、時間が「パースペクティブ」をもたらし、状況をより明確に把握することができるのです。
あなたも、どうしても欲しいと思っていたもの、どうしてもデートしたいと思った人、どうしても
手に入れなければと思った仕事が、後で振り返ってみると自分が考えていたほどではなかった、
という経験があるはずです。それは、時間の経過によってそう思えるようになったということです。
ある物を手に入れられなければこの世の終わりだと思っていたのに、手に入れていない今、幸せに過ごしていたりするでしょう。少なくとも、自分が思っていたほどの影響は感じていないはずです。
このように、パースペクティブを転換する方法を見出すことができれば、今日の出来事を未来の視点で捉えることができます。本当に大事なことが何なのかを、すぐ、正確につかむことができるようになるのです。
そしてパースペクティブは、起業家としてすべきこと、どんなビジネスを展開すべきかの決断を下す際に、ビジネスの成功と失敗を大きく左右するのです。
大きな利益とその向こう側へ
リッチ・シェフレン
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