From:萩原 敬大(はぎわら たかひろ)
今日は、まず初めに、ある大ヒット商品の事例を紹介します。ここでは、たった1つのアイディアが、某製薬会社の商品を、2年で1100億円以上の売上を上げる大ヒット商品へと変えました。そのアイディアとはいったい何なのか?
もしあなたも、これをウマく自分の商品・サービスのマーケティングに取り入れることができたら、今までとは比べものにならないくらいのヒットを生むことができるでしょう。さらに、競合の存在は気にならなくなり、、その見込み客にとって唯一の存在として、より高額の単価をいただくことも可能になるかもしれません…
古代ギリシャ・ローマ時代より、世界中の多くの男性にとって共通の関心事であり、悩みの種になっていたものがあるそうです。それは・・「性的不能」(インポテンツ)です。
『性的不能の文化史〝男らしさ〟を求めた男たちの悲喜劇』このような本が出版されているほど、その悩みというのは深く、、「性的不能」=「男らしさ」の欠如した状態として、それを持つ男性たちは自分を責め、後ろめたさを感じていました。
さらに、昔はその影響は自分自身だけにとどまらず、、「パワーを発揮できない男性は、男として認められない」と、社会から評価される基準でもあったとのことで、それが縁談や結婚を阻んだり、離婚の理由にもなったそうです。
もちろん、ここまでひどくはないにせよ、、「性的不能」に対しての冷たい風あたりは20世紀になっても変わらぬまま続いていました。そんな中、その流れをガラリと変えた会社があります。その会社こそが、冒頭でお話しした製薬会社・・「ファイザー」です。
「ファイザー」が優れていたのは、これまで単に「性的不能」の男性はパワーがない。男として失格だ。などと片付けられるだけだったところを、そのメカニズムを詳細に洗い出しました。そして、、
「性的不能」というのは”単なる症状に過ぎない”こと。それはちょっとした泌尿器系のトラブルであり、機械でいう”配管が故障”したようなものだ。と発表し、屈辱的な「性的不能」を →「勃起不全」という新たな病気にまとめ、多くの深い悩みを持った男性たちを、その悩みから解放しました。
そして、その病気の解決策として作られた「バイアグラ」は、多くの男性たちの支持を受け、たった2年で1100億円以上の売上を上げる大ヒット商品になったのです…
リッチ・シェフレンも、少し形は違えど、、これと似たような経験を自分自身が味わったことがあると言っています。
彼は昔から、物事をついつい先延ばしにしてしまったり、計画することができなかったり、片付けることが苦手でした。また、時には変わった言動や、すぐに集中力が切れてしまうなど、、10年近く、ずっとそのような症状に悩まされ、自分はなんてダメなんだ。。と、ついつい自己嫌悪に陥ってしまうことがあったそうです。
一時期、心理カウンセラーの元に通っていたこともあったのですが、明確な解決策は得られず、、悩みを抱えながら過ごしていました。それから2年後、彼は近所の本屋で衝撃的な出会いをします。それは「ADD(注意欠陥障害)」という病気について書かれた本だったのですが、その本をたまたま手にとって、ザッと流し読みをしてみたところ、そこに書かれていた内容全てが、まさにリッチのために書かれているんじゃないかと疑うくらい、自分に当てはまるものでした。
何でも先延ばしにしてしまう理由・・物事を片付けることができない理由・・すぐに集中力が途切れてしまう理由・・その全てが単なる”症状”として、「ADD」という病気にまとめられた瞬間に、リッチは、「俺はこれまでずっと自分を責め続けていたけど、これは俺のせいじゃなかったんだ!俺じゃなくて、ADDという病気のせいだったんだ!」と、その苦しみから解放され、とても楽な気持ちになったと言っています。(面白いのが、まだADDという病気自体は治ってもいないし、何一つ改善していないにもかかわらず、、です。)
そして、リッチは自分に「ADD」という病気だと教えてくれたこの本に感謝し、すぐに著者に連絡を取った。この人の言うことなら何でも聞くし、何でも買う。と言っていました…
このように、、人間というのは、何となく感じているけれども原因がわからない。何となく不安・・といった症状の根本的な原因がわかると安心します。おそらくあなたも経験があると思いますが、、そのことが分かった瞬間、まるで目の前に重くかかっていた霧が晴れたような感覚になり、一気に視界が開けていきます。(さっきもいいましたが、ここでのポイントは、問題の原因がわかっただけで、まだ何も問題は解決していないのに。です。)
これを商品を販売する側が見込み客に見せてあげる、プレゼンテーションすることができれば、、その商品を売るのはとても簡単になります。単なる売り手と買い手の関係ではなく、本当の問題を教えてくれた先生と生徒。あなたは◯◯病だと教えてくれた医者と患者のような自然な上下関係を作ることができるのです。
さらに、、これまで2つの事例で紹介した症状と病気のテクニックはとても強力。「ADD」という病気については一般的なものでしたが、ファイザーの「勃起不全」については、当時完全にオリジナルなもので、他の誰もそんなことは言っていませんでした。もちろん、、解決策の「バイアグラ」についてもです。
あなたの市場の見込み客が抱える悩み(症状)を”新しい病気”にまとめ、それについての独自の解決策を提示することができれば、見込み客はあなたを選ぶ以外にはない。そんな独占状態を作り出すことさえできてしまいます…
自身の問題が「ADD」という根本的な原因。つまり病気でまとめられたことで、その問題から解放された経験をしたリッチは、自身のマーケティングにもそれを応用できないかと考えました。そこで生み出されたのが、、世界で200万人以上の起業家に影響を与えた・・「チャンス追求型の起業家と戦略型の起業家」というコンセプトです。
ここでの症状というのが、、
・次から次へと新しく発売される教材を買ってしまう…
・教材を見ても、何もかもが思っていたより難しく、全然成果が出せない、、
・メール、本、教材、、見渡す限りの情報の山に溺れ、いつも頭は混乱している…
・働く時間はあまりに長いのに、乏しい収益…
・ありとあらゆることを全て自分でこなして、忙しすぎて死にそう…
・毎日のやることリストが全然片付かない、、
・それでも、起業家として成功する夢を諦めたくないから、まるで宝くじを買い続ける人のように、新しい本・教材を買い続けてしまう…
・自分の何がいけないんだ、、と自分を責める。自分はもしかしたら一生成功できないんじゃないか、、と不安に思う…
などなど、、これらは全てが単なる病気の症状だったということ。そして、あなたの本当の問題は、”チャンス追求型”という新しい病気にかかっていたんだ。ということを、1つ1つ丁寧にプレゼンテーションし、玉ねぎの皮を剥くように、見込み客にわからせてあげます。(ここはマニフェストや、リッチのウェブセミナーを見ていただければわかると思います。)
そして、見込み客が、「そうか、自分はチャンス追求型という病気にかかっていたから今まで成功できなかったのか!」と、気づいてもらい、問題から解放されたタイミングで、”戦略型の起業家”になりさえすれば、あなたはその病気を克服し、今まで欲しかった成功を手にできる。という形で独自の薬を処方してあげます。
もはや、この時点でライバルが消えるのがお分かりでしょうか? 完全に医者と患者のような関係になり、診察をしているようなもの。ほかではこんな話は聞いたことがないので、見込み客がリッチから薬を買うのは当然のことですよね…
これというのは、かなり深く見込み客のこと、あなたの商品のこと、そして市場のその他の競合のアプローチなどを調べないと、本当に大ヒットするものは作れないので、簡単ではありませんが、、ここでは病気の作り方、伝え方で、僕がリッチから学んだ3つのポイントを簡潔にお伝えします。
Point1:
ロジックツリーで根本原因を探す
まず、リサーチの結果、見込み客が感じている悩み・問題といった”症状”をリストアップします。そして、↓の写真のような形で、なぜ? という問いを繰り返していき、その根本にある原因を明らかにしていきます。(ロジックツリーについては色々な本が出ていますので、詳しく知りたい方は読んでみてください。)
見込み客でさえ気づいていない”根本の原因”を見つけ出すというのは簡単なことではありませんが、、これができると、あなたはその他大勢の競合と全く違ったアプローチを取ることができるようになります。
Point2:
独自のネーミングをつける
先ほど見つけ出した”根本原因”を、見込み客が今まで聞いたことのない、新しく感じるものにすべく、独自のネーミングを考えます。(まさに、新しい病気を作り、その”病名”を考えるという感じでしょうか。)
ファイザーで言えば「勃起不全」、リッチで言えば「チャンス追求型」ですね。ネーミングの付け方は、こちらの記事でも書いたことがあるので、参考にしてみてください。
参考Blog:「一度聞いたら忘れられない「商品名」の作り方」
Point3:
診断するように伝える
さらに、その病気を”どのように”伝えるか。という、伝え方も結構重要です。これはリッチが話していた例えなんですが、なかなかわかりやすかったのでちょっと引用しますね。
”「あなたが奇妙な痛みを持っていると想像してみてください。肘から痛みが始まり、次に肩に痛みが移り、そしてついには手首が痛み出し、さすがに耐えきれなくなって病院へ行ったのに、どの医者もあなたがおかしなことを言っていると思っている。全てあなたの想像で起きている痛みであって、実際に起きているはずはないと。きっと、様子をみればそのうちよくなるでしょう。などと言われる。
そんなある日、あなたはバーで飲んでいると、たまたま隣に座って何気なく話していた人が、実は世界トップクラスの外科医だと知ります。
そこであなたは、「今こんな話をするのは申し訳ないのですが、実は少し前から体に奇妙な痛みがあって、ここから始まって、次にここに移って」と話し出したところで、、その外科医が「もしかしてその後、痛みが手首に移りましたか?」と言ったとします。
それを聞いた瞬間に、あなたはその医者にドリンクをご馳走しようとするでしょう。もうあなたは、その外科医の時間を邪魔するかもしれないと気遣いなどしていないでしょう。それよりもこの痛みがなぜ起きているのかもっと詳しい情報が欲しいと思っているはずです。
おそらく「一体私の体に何が起きているんですか? なぜこの痛みが起きているんですか? 何かの病気でしょうか?」などと聞くでしょう。」”
このように、、ベストなのは医者が患者を診断するように、順を追って伝えてあげるということ。間違っても「うーん、たぶんこの5つの病気のうちのどれかだと思うんですよねー。。」などと、あいまいなことを言ってはダメです。(もし仮に医者にこんなこと言われたら嫌ですよね?笑)順を追って説明した後は、しっかりと自信を持って言い切ってあげてください。
以上が、少し簡易的ではありますが、病気の作り方・伝え方の3つのポイントです。リッチの大成功したレポート・マーケティングキャンペーンのほぼ全てにこの要素は入っているので、あなたのマーケティングにも取り入れてみてはいかがでしょうか。
萩原 敬大
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