From:萩原 敬大(はぎわら たかひろ)
お盆休み中なので、今日はちょっと趣向を変えた記事を書いてみたいと思います。
先日、中谷さんのグループコーチングに、塾を経営されている方が参加されていて、以前観た映画:「ビリギャル」のことを思い出しました。
ちなみに「ビリギャル」の原作は、「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」という100万部超えのベストセラー書籍。
素行不良の金髪ギャル。高校2年生で小学4年生程度の学力しかなかった主人公のさやかが、スーパー塾講師:坪田先生の指導を受け、1年で偏差値を40上げて、慶應義塾大学に現役合格するまでを描いた実話です。
この映画、個人的にはめちゃくちゃ感動したので、久々に見返してみたんですが、、やはりこの中には夢を叶えるために必要なこと、そのステップが詰まっているなーと感じます。今回、それを分析して、ステップ化してみたので、よければ参考にしてみてください。
ちなみに「ビリギャル」をまだ観ていない方がいたら、非常に学びが多いので、お盆休みの間にでもぜひ一度観てみることをオススメします。(これは、自分の夢を叶えるためだけでなく、人を育てる、人の動機付けをするという意味でもかなり勉強になるので、指導関係のお仕事をされている方や、部下を多く持つマネージャー、社員を育てたいという社長さんにも役立つと思います。)
それではいきますね。
そもそもなんですが、志望校がなぜ”慶應”だったのか・・気になりませんか?普通よくある話だと、東大とか京大を目指すパターンが多いんですが、主人公のさやかちゃんは滑り止めというわけではなく、初めから”慶應”を第一志望にしていました。
実は、ここに夢が叶う目標設定のポイントが隠れています。それは・・自分の感情が動くもの。それを聞くと、本心からやりたい!叶えたい!と思えるような目標を設定することが大事だということです。
この本の著者であり、さやかちゃんを育てた塾講師の坪田先生は、彼女が慶應に合格できたことについて、”一番大きかったのは目標設定を適切にできたことかなって思います。あれがたぶん、早稲田だったり京大だったりしたら違ったのかなぁと。”と、言っています。
映画でも、この志望校を決めるシーンが出てくるんですが、さやかちゃんに志望校を聞いても、「志望校とか聞かれても大学自体よく知らないから、わからない」みたいな返答をしています。
なので、とりあえず「東大にする?」と先生が聞いたところ、、彼女は「東大は、なんかガリ勉でダサイ男しかいなそうから嫌だ」と言いました。そこで、坪田先生は、彼女の関心がありそうなことを考えて、「じゃ、慶應ボーイって聞いたことある?」と聞きます。
すると彼女は、、「聞いたことある。チョーお金持ちで、チョーイケメンがいるんでしょ」と目を輝かせました。それを聞いた瞬間、先生は、”きっと彼女はキラキラした人たちがいて、その中心にいる自分にテンションが上がるんだな”ということに気づいたと言います。
そこで、慶應に入れば、モデルや女子アナになれる確率も高まる。玉の輿も夢じゃないぞ。と畳み掛け、彼女は自ら慶應を第一志望にすることを決め、モチベーション高く受験勉強をスタートさせることになったのです。
ポイントの2つ目は、先生が、「とりあえずここに志望校を書こう。七夕の短冊と同じで、願いをまず書くことが大事だよ。」と、志望校を決めた後、すかさず紙に書かせたことです。
これというのは、すごくシンプルなことなんですが、、多くの成功者が効果があったと語っている、すごく強力なテクニックです。(これは僕自身も経験があるんですが、不思議なことに本当に叶ってしまいます…)
そして、さやかちゃんは、紙に書き出した目標を部屋の壁だけでなく、部屋に続く階段にまで、目につくところすべてに貼りまくりました。
結構有名な話なので聞いたことがあるかもしれませんが、この効果は、ハーバード大学の調査結果でも証明されています。調査の内容としては、、ハーバード大の卒業生たちが、明確な目標と具体的な計画を紙に書き留めているかどうか?そして、その後彼らはどうなったか?ということを10年にわたって追跡調査したというものです。
卒業時には・・
①約3%の卒業生が「明確な目標と具体的な計画を設定し、紙に書き残している」と回答
②約13%の卒業生が「目標は設定したが、特に紙などには書き留めていない」と回答
③約84%の卒業生が「卒業後の夏を存分に楽しむこと以外は、とくに明確な目標は設定していない」と回答
そして10年後・・ 彼らがどのような人生を歩んでいるか追跡調査が行われたのですが、特に収入面に関して、予想を遥かに上回る差が生まれました。
まず、②の目標は設定したが紙にまでは書かなかった13%の卒業生について。彼らは特に明確な目標を定めず、紙にも書き留めなかった84%の卒業生の約2倍の収入を得ていたということがわかりました。
そして、①の明確で具体的な目標を持ち、それらを紙に書きとめていた3%の卒業生は、残り97%の卒業生の約10倍もの収入を得ていたということでした。
優秀なハーバード大学の卒業生でさえこのような差がつくのですから、、これを実践するのとしないのとでは、大きな差がつくと言えるんじゃないでしょうか?
「あ、私、慶應に行くことにしたから。」
さやかちゃんは志望校を決めた日、すかさずそれを親や、仲のいい友達に宣言しました。そして、のちに教室の黒板の前に立って、先生、生徒全員がいる前で「私は絶対慶應に合格します!」と宣言し、自ら退路を断ち切りました。
決断=決めて断ち切る
そんな言葉の通り、一度やると決めたら、逃げ道をなくすということがとても重要になります。
さやかちゃんの時もそうなんですが、夢を宣言すると、たいていの人は無理だと言ってきます。これはステップ4で詳しく話していますが、それによって、絶対に見返してやる。達成してやる。という強いエネルギーが増幅されることにも繋がります。
もちろん、中には助けてくれる人、夢を叶えるのに必要な資源を持っている人がいて、協力してくれる。そんなメリットはあるかもしれませんが。何にしても、まずは想いを宣言して、外に発信しないことには何も集まってこないですよね。
これはマーケティングの原則でもありますが、人は何かを得たいという前向きな気持ちよりも、絶対に嫌なものを避ける、今の苦しい状況をどうにかしたい。というネガティブなモチベーションの方が、はるかに強い力を発揮します。
多くの成功した起業家の方のお話を伺っても、ある程度成功してからは、社会貢献などのポジティブな動機で活動されていますが、、どちらかというと創業期の頃はネガティブな動機、感情を最大限利用し、それをエネルギーに変えて成功した方が多いように感じています。
例えば、リッチ・シェフレンも、儲かってはいるけど自由のない生活、あまり好きではない事業に嫌気がさし、インターネットの自由なライフスタイルを得たくて今の業界に入った。というふうに言っていますが、最初の頃はネガティブなモチベーションが原動力となって、会社を成長させてきました。
ちなみに、このネガティブなモチベーションの中でも、特に復讐(リベンジ)の感情は強いです。有名なところでいくと、「Facebook」のCEOマーク・ザッカーバーグの例があります。彼は好きだった女の子に振られたこと、モテなかったことで、彼女を見返してやる!復讐してやる!という感情が原動力になり、Facebookを立ち上げました。
「ビリギャル」では、さやかちゃんは主に2人の嫌いな人への復讐に燃え、合格を目指してがむしゃらに勉強を続けました。1人目は、お前はバカだ。クズだ。お前が慶應なんて行けるわけがない。と言い続けた学校の担任の先生。
もう1人が実の父親。弟をプロ野球選手にしようと弟だけに金を使いまくり、母や娘たちはほったらかしの父親に対しての怒り、絶対に見返してやるという復讐心が強いエネルギーになっています。
また、ビリギャルと同じ塾の友達で、ヤンキーのれいじくんという子も、かなり強い復讐心を勉強へのエネルギーに変えました。彼は親が弁護士で、後を継げと強制されたせいで、逆に反発してグレた。というパターンで、この塾にたどり着きました。
親に強制的に塾へと連れてこられたれいじくんは、、
「絶対にあいつらの思い通りにはさせない。だから死んでも勉強はしない。」と、テレビゲームに没頭していました。そんな彼に、坪田先生はこんな言葉をかけます…
”「そうだ、いい復讐の方法思いついちゃった。マリオがクッパを倒し、ピーチ姫を助けて散々喜ばせて置き去りにして帰ったとしたら、ピーチ姫は絶望すると思わない?これって、いちばん残酷なやり方でしょ?」
”「だから、君は頑張って大学に入り、司法試験に受かる。でも、君は弁護士にはならない。お父さんを散々喜ばせた後で、どん底に落とす。めちゃくちゃ残酷だろ?どう、やってみない?」”
そんな風に、坪田先生は彼の復讐心に燃える心をウマく導き、勉強をさせることに成功しました。(ちなみに、れいじ君がゲームが好きだというのを知った上で、坪田先生はあえて共通言語のゲームを例えに出して伝えています。話は逸れますが、この説得のうまさ、、かなり参考になります…)
ステップ5は、日々夢を叶えるために努力していることについて、ちょっとした小さな進歩・成長に気づいて、それを認めるということです。
坪田先生はそこに気づき、声をかけるのがとてもウマいです。さやかちゃんが初めてのテストで0点だったのが、2回目で5点になった時、、「まだ全然だね。」ではなく、「お、1個正解したじゃん」と声をかけるのです。
坪田先生曰く、これは褒めて伸ばしているというわけではなく、人間というのは日々ほんの少しであっても、必ず成長している。だけど、細かな成長に対して、みんな鈍感。長期のスパンだけではなく、日々、小さなことに気づいて、それを認めてあげることが成長・モチベーションの維持には重要だという風に言っています。
「ビリギャル」では、坪田先生がさやかちゃんに「日本史の知識って何かあるの」と聞くと、彼女は「何にもわかんない」って答えます。「今まで習ってきたんだから、なんか一個くらい出てくるだろ。」と聞き返すと、、「イイクニ作ろうとかそんなやつ?」と、彼女は答えます。
そこで、坪田先生は、「そうそう、15秒前に比べたら1個出てきたじゃん。それだけで成長じゃん」という風に言ってあげます。そうすると、彼女は嬉しそうに、「あ、あれでしょ。イイクニ作ろう平安京でしょ!」とさらに答えを返します。というふうに、もともとゼロだったものが1つ、2つと出てくるようになったわけです。(まあ間違ってますけどね。笑)
これを最初から、「目標からしたら全然じゃん。」「もっと頑張らないとダメだよ」と言ってしまうと、出るものも出なくなってしまう。やっぱり全然進歩してない。。と、モチベーションが下がる一方になってしまいます。
「100段先の鳥居ではなく、足元の階段を見よ。」誰の言葉だったか忘れてしまいましたが、、遠いゴールだけではなく、日々の小さな進歩・成長にも目を向けるということが大切ではないでしょうか。
「ありがとな、お前がいるから俺も頑張れてる。」
ある日の帰り道、近所の土手の上。塾の友達:れいじくんが、さやかちゃんにこんな言葉をかけるワンシーンがあります。2人は机が隣同士で、同じく家庭環境が悪く、少しグレている。そんな状況から、同じように有名大学合格という夢を目指す仲間です。
人間は弱い生き物なので、やはり一人きりでは誘惑に負けてしまいますよね。。そんな時に効果的なのが、同じ夢を持つ仲間を作ったり、そういう人たちが多く集まる環境に飛び込むこと。
「思考は現実化する」の著者で、成功哲学の元祖:ナポレオン・ヒルも、「マスターマインド」という考え方を提唱しています。彼は大量の成功者たちに話を聞きまくった結果、この「マスターマインド」の協力なしで、偉大な力を発揮し得た人はいない。と言い切っていて、正しくこれを選ぶことができれば、その時点で目標の半分は達成したも同然だ。そんな風にさえ言っています。
”「マスターマインド」:
二人以上の、統一した願望や目標を持った人間の集まりのことであり、また、それらの人々の間で行き交う、波長の合った思考のバイブレーションのことを指す。”
と、、ここまででようやく半分くらい書きましたが、だいぶ長くなってしまったので、ここでまとめをして、一旦終わりにしたいと思います。もし反響があれば続きを書きたいと思いますので、気に入ってもらえたら、ぜひFacebookでイイねや、シェアをいただけると嬉しいです。(ちなみに、次回はリッチ・シェフレンの教えも絡めて書けそうです。)
では、まとめると、、映画「ビリギャル」から学んだ”夢の叶え方”(パート1?)は、、
ステップ1:適切な目標設定
ステップ2:夢(目標)を紙に書く
ステップ3:宣言する
ステップ4:ネガティブな感情をエネルギーに変える
ステップ5:日々、ちょっとした進歩・成長に気づく
ステップ6:同じ夢を持つ仲間を作る
です。
もしお盆休みに時間があれば、ぜひ「ビリギャル」を観てみてくださいね。(Amazonのプライムビデオなら定額で見放題です。)
萩原 敬大
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